12月17日にGallery TOMにて行われた講演会「イラン高原の風土と絨毯」とイラン伝統楽器による音楽ライブがYouTUBEにてご覧になれます。
会場:Gallery TOM(ギャラリートム)
〒150-0046 東京都渋谷区松濤2-11-1
TEL 03-3467-8102 FAX 03-3467-8104
日時:12/17(土) 14:00~16:00
講演会「イラン高原の風土と絨毯」、ペルシャ文化に触れる講演の様子とともに、イランの伝統楽器による音楽ライブをasobi castが生配信致します。
会場:Gallery TOM(ギャラリートム)
〒150-0046 東京都渋谷区松濤2-11-1
TEL 03-3467-8102 FAX 03-3467-8104
会期:12/17(土)~25(日)11:00~20:00
※会期中無休
◎講演会「イラン高原の風土と絨毯」
12/17(土)14:00-15:00(入場無料)
講師:アリ・ソレマニエ
自然と人間の感性からうまれたペルシャ絨毯。イラン高原に絨毯が発展した所以と文様の起源について、写真等をお見せしながらお話しします。
2011年夏、京都・祇園祭の山鉾、南観音山の前掛けとしてミーリー工房の真珠織絨毯「ELYAR」が掛けられました。 祇園祭は、京都の夏の風物詩であり、世界的にもよく知られている日本を代表する祭のひとつです。山鉾巡行では貴重な美術工芸品で装飾された山鉾が公道を巡ることから、動く美術館ともいわれています。
日時:2011年5月21日(土)〜27日(金)(会期中無休)
※開館時間:10:00-19:00
場所:Miri Collection Showroom
東京都港区南青山1-15-15 乃木坂パークフロント1F
TEL:03-5772-9391 FAX:03-5772-9392
◎オープニングパーティ
日時:2011年5月21日(土)14:00-
日時:2011年2月18(金)~27(日)(会期中無休)
※開館時間:11:00-18:00
場所:シルクラブ(中野山田屋)
東京都中野区沼袋2-30-4 TEL:03-3389-4301 FAX:0463-71-6089
URL:www.silklab.com
EMAIL : silklab88@nifty.com
◎講演会「遊牧民」
日時:2011年2月19日(土)14:00-
遊牧民の民であるガシュガイ、シャーサバン、バクティヤリ、トルケマン。25年間の旅の中で記録した彼らの生活を、織の風景も交えてご紹介します。写真やビデオ、部族の音楽とともにお楽しみください。
◎映画上映
日時:会期中毎日14:00-
ペルシャ絨毯の短編映画を上映致します。
絨毯の起源は、羊を放牧していた遊牧民の手織り絨毯に求められる。それ以前、彼らは動物の皮を敷物として、また、衣服として使っていた。やがて羊毛を刈り取り、フェルト状の敷物が作られる様になった。糸の紡ぎができるようになってから平織りが可能となり、徐々に パイル織りの絨毯も織られるようになった。最初は比較的小さい絨毯を織っていたが、町に定住するようになり大きな絨毯を織るようになった。今でも遊牧民は大きい絨毯をほとんど織らない。現存する最も古い絨毯は探険家ロデンコによって発見された。現在、エルミタージュ美術館にある。外モンゴルから約80キロメートルのアルタイ山麓にあるパジリク古墳のサカ族の王墓から発掘されたこのパジリク絨毯は、200センチメートル×183センチメートルで、1平方センチメートル当たり36ノットでアケメネス朝時代に織られ、馬に掛けられていたものである。ロデンコは、この絨毯がペルシャのホラーサーン地方で織られたものと推定している。 当初は絨毯を織るための下絵がなく、模様はほとんどが幾何学的で,口伝えに伝えられていた。ペルシャ絨毯に曲線模様が使われるようになったのは、都市に定着した人びとが絨毯を織るようになってからである。洗練された曲線模様が本格的に発達したのは15世紀頃からのことで、下絵が先に描かれ、それに従って織られた。ロンドンのビクトリア&アルバート美術館にあるアルデビル絨毯(1540年制作/1152cmⅹ534cm)は、当時の技術の完成度を物語っている。王室や貴族の注文で織られる絨毯も増え、素材も羊毛だけでなく絹糸も使われるようになった。そして、ペルシャ絨毯はペルシャの最も高価な製品として他国の王室などへの贈り物として使われるようになっていった。日本には17世紀頃から祇園祭の鉾の懸装品として現在まで使われている。 サファヴィー朝期,王の命令により多くの都市で多数の工房が作られ、王室御用達の絨毯や、外国からの特別注文の絨毯が多く織られるようになった。ペルシャの手織り絨毯や工芸品は時代の影響を受け、サファヴィー朝期に最も栄えた。外国への本格的輸出は19世紀半ばから始まり、カージャール朝のナーセロッディーン・シャーの時代にはヨーロッパに大量の絨毯が輸出されている。19世紀の近代資本主義・商業主義の台頭により、量産を重視する傾向が現れた。化学染料の普及により、伝統的草木染が少なくなり、外形だけが重んじられるようになっていった。20世紀後期にこの傾向を憂い、伝統的技法と模様の復活と発展を目指す工房が現れてきた。
1. 絨毯の素材
イランではパイル織りの敷物(絨毯)とパイルなしの敷物(ゲリームまたはキリム)が昔から織られているが、パイル織りのほうが圧倒的に多い。パイル織りの構成はたて糸、パイル糸、よこ糸からできている。
①たて糸
たて糸は絨毯に使われる糸の12~15%を占めている。たて糸の素材は綿、羊毛、絹で、地域や民族によって違い、遊牧民のほとんどは羊毛を使っている。遊牧民の人口は減少し、今ではイランの人口の約1%にあたる約70万人である。定住民の間でも羊毛をたて糸に使用している所があるものの、イランの手織り絨毯の数パーセントだけがたて糸に羊毛を用いているにすぎない。ペルシャ絨毯の約8割以上は、たて糸に綿を用いている。パイル糸が絹である絨毯には、たて糸も絹が用いられる。エスファハーン地域を中心とした密度の非常に高い絨毯にも絹糸がたて糸として使われている。
②パイル糸(結び糸)
パイル糸は、絨毯に使われる糸の70~75%を占めている。パイル糸としては羊毛と絹が使われている。一般的にパイル糸が羊毛の場合、ウール絨毯と言う。パイル糸が絹の場合、シルク絨毯と言う。通常シルクは12%、ウールは18%の水分を含んでいる。繊維に水分が含まれていると静電気を起こしにくく、汚れにくい。静電気を起こさない繊維は健康的である。
③よこ糸
よこ糸は絨毯に使われる糸の15~18%を占めている。よこ糸は一般に綿糸が使われている。シルク絨毯にも普通よこ糸は綿糸を使うが、特別な場合には絹を使うことがある。羊毛をよこ糸として使うことは非常に珍しい。
2. 絨毯の構造
絨毯の織り方は次のとおりである。まず最初に,たて糸とよこ糸を使って平織を織り,そのベースの上に図1のように2本のたて糸にパイル糸をからませてデザインにしたがって一列にパイル織を行い、次にたて糸であやを取り、よこ糸を通し、おさ打ちをする。通常,一列のパイルに対して2本のよこ糸を使う。1本目は太い糸で、2本目は細い糸を通す。地域により、よこ糸を2本以上通す所や、1本だけ通す所があるが、9割以上はよこ糸を2本使う。パイルのからませ方も地域により違う。大きく分けて2種類のからませ方がある。
①を使う地域は左右対称的に結び,釣針を使わない地域は非対称的にからませてパイルを結んでいく。一般的に左右対称的織りをトルコノットと言い、非対称的織りをペルシャノットと言う。

3.パイル糸の染色
イラン高原は、糸の染色に使われる植物が豊富である。よく使われている植物は下記のとおりである。
色 |
染 料 |
赤/ピンク |
茜(runas) |
紺/青 |
藍(nil) |
緑(濃) |
藍とジャーシール(jashir)(2) |
緑(淡) |
藍とザクロの皮 |
黄(マスタード色) |
ジャーシール |
黄(淡い黄色) |
ザクロの皮 |
こげ茶/茶 |
クルミの皮 |
ベージュ |
クルミの皮 |
4.ペルシャ絨毯の機と道具
イラン高原は、糸の染色に使われる植物が豊富である。よく使われている植物は下記のとおりである。
①水平型織機
織り幅と密度に応じて地面に4本の杭を打ち、2辺に横木を固定し、たて糸を地面に平行して張る。この種の機は設置が簡単なので、遊牧民によって用いられている(図2)。
②垂直型織機
竪(たて)に固定された織機にたて糸を張る。この型の織機は仕事がしやすく、大きな絨毯 も織れるので、イランでは遊牧民を除いてほとんどの地域で、このタイプの機が使われている(図3)。
5.イラン手織り絨毯の存続の理由
①イラン高原の羊毛は絨毯にとって最適であること。イラン高原の羊の毛の繊維は,オーストラリアやニュージーランドなどの羊毛と比較して太く,踏んだり押しつけたりしたとき,回復力がはやいので絨毯の素材として適している。
②絨毯の原料に恵まれていること。羊毛と絹糸が大量に生産され,草木染めの原料になる植物が豊富である。
③ペルシャ絨毯の主な消費者はイラン人自身であること。嫁入り道具としてペルシャ絨毯を持たせる伝統的な習慣があり,また,それは土地や金と比較できるほどの財産として価値があり,投資の対象としても売買されている。
④ペルシャ絨毯は古くなるほど商品としての価値が上がること。それは使い込まれるほどますます色が落ち着きを増し,羊毛は柔らかくなり艶が出て味わい深くなる。ヨーロッパを中心にぺルシア絨毯のコレクターが大勢いて,アンティークの絨毯に人気が集まる。
⑤機械では織れない手織り絨毯の技法。
ⓐ機械ではパイル糸をたて糸に結ぶことができない。機械織りでは,パイル糸がⅤ型でたて糸に乗っているだけで,抜けないように絨毯の裏面に合成糊を塗布している。
ⓑ手織りの場合はパイル糸一列に対して,横糸が2本入り,じゅうぶんおさ打ちをすることができる。これによって緻密な絨毯が作られる。
ⓒ現代のジャガード(紋様を織り出す装置)の技術では,限定された色数の糸しか使えないが,手織りでは無制限に色糸が使える。
ⓓ手織りであるために,製作者の意向や微妙な表現が可能で,芸術的価値の高い絨毯を織ることができる。
〈注〉
(1)qollab
(2)20~30センチメートルほどの丈の低いウイキョウに似た多年生植物で,黄色を出し,山地に生育する。ケルマーン地方が有名。
〈参考文献〉
イラン国民経済のダイナミズム 2000年 原隆一、岩崎葉子 編 (アジア経済研究所)
Edwards, A. C.[1953], The Persian Carpet,London:Duckworth.
Essie Sakhai[n. d.], Oriental Carpets,London:Parkway Editions Ltd.
ETFA[1998], Iranian Handmaid Carpet, Tehran.
Export Promotion of Iran[1996], International Conference on Persian Carpets, Tehran.
Sherkat-e Sahami-ye Farsh-e Iran[1998], Iran Rug, Tehran.
Tavernier, J. B. [1684], Collection of Travels through Turkey into Persia and the East-Indies, London:M.Pitt
1.素材がたしかな天然素材であるかどうか確かめること。
パイル糸、経糸、緯糸、特に見えない緯糸が天然素材である事が大切である。19世紀までは手紡ぎの糸だけであったが現在は殆ど紡績した糸が使用されている。
2.染色のたしかなもの
19世紀までは全て天然染めであったが、現在では殆どが合成染料で染められている。染料メーカーが指定している公式で染めていない場合、色の定着率、堅牢度に問題が生じる事があるので信頼出来る専門家に相談する事が大切。
3.織が確かであること
織の細かさ(パイルの密度)のみを目安にしない事。産地により素材や密度が異なり、産地の伝統技術(伝統の織の構造)と素材が使用されているかが大切である。
4.紋様と色彩
図柄や色調は各人の好みで選ぶものであるが、この紋様と色彩においてもオリジナリティーが大切である。その土地で古くから織られてきた紋様や色彩には風土と文化から生まれた、優れた工芸品としての価値がある。他の地で同じような図柄と色彩で織っても模倣にすぎず、その産地が長い歴史のなかで創造してきた紋様と色彩の重厚な絨毯とは言えない。
以上、4点に気を配り、オリジナリティーある手織り絨毯を選ばれる事をお薦めする。